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ジオコラム

三陸海岸に特有の自然・風土と人々の暮らし

黒崎展望台より”やませ”の霧がさしかかった断崖を望む(普代村)

黒崎展望台より”やませ”の霧がさしかかった断崖を望む(普代村)

三陸は三陸海岸・三陸沿岸と言われるように、海と一帯となった地域として生産と生活を共有し、個性的な風土と文化を創出してきた地域であります。

三陸沖は寒流と暖流がぶつかる潮目にあたり、古くからの好漁場であり、三陸海岸は漁業を中心とした経済活動で結ばれながら、主体的な地域文化を形成した地域です。一方、有数の地震地帯やリアス海岸の地形による「津波」の被害や、「やませ」の冷害・凶作に悩まされてきました。
江戸時代後半の冷涼な気候と合わせて連年凶作に見舞われた中、御用金の賦課に端を発し、三閉伊一揆が発生しました。この一揆は、地域住民の結束を強めたものとされており、厳しい状況を打開する精神力や団結力を持つ人々が生まれ育った地であることがわかります。

三陸海岸特有の自然と風土からなる暮らし

三陸は三陸復興国立公園に指定されているように、その風光明媚な海岸景観を共有しており、その海岸景観と向き合って生きてきた、古くからの人々の生活や信仰が前提として存在します。

三陸沖は寒流と暖流がぶつかる潮目にあたり、古くからの好漁場であります。三陸は漁業を中心とした経済活動で結ばれながら、主体的な地域文化を形成したものであります。豊かな海は森・川・海と連なる一連の生態系のなかで維持されていることを強く認識し、海と山を結びつけた近年の三陸の人々の環境問題への取り組みもまた、海産資源との関わりから生まれたものです。

一方、「津波」や「やませ」は三陸海岸部を襲う海の脅威です。三陸は有数の地震地帯であり、V字状の湾を持つリアス海岸は水位が急激に高くなり、津波が湾内部まで駆け上ることもあります。また、やませは東北地方の太平洋側に六月から八月にかけて吹きつける湿潤で冷たい偏東風で、「飢饉は海から来る」とも言われるように、冷害・凶作の元凶となるだけでなく、三陸の風土や文化をも規定してきたものです。

近代以降の三陸沿岸部の歩みは、津波ややませの飢饉との闘いであったと言っても過言ではありません。これらの闘いは個の闘いではなく、地域との闘いであることから、三陸海岸の人々は地域の結びつけを強め、かつ広げながら着実に取組まれています。

きれいに晴れている6月の海岸。
沖にやませが見えている。

左の写真から27分後。手前の浜すら見通せないほどのやませに覆われる。

藩政の改革へ至らしめた日本最大規模の「三閉伊一揆」

三陸の自然は、日常生活にも影響を与えていました。江戸時代、盛岡藩は当時の稲作の北限地区であるにも関わらず、水稲生産を強行したため、江戸時代後半の冷涼な気候と合わせて連年凶作に見舞われており、民衆も困窮していました。

凶作においても、盛岡藩の度重なる御用金の賦課や藩札の乱発行によるインフレーションなどに対し、御用金の免除などを要求し各村々がめいめいに強訴を行ったものが一揆の発端とされています。

大規模かつ組織的で、その要求が高度に政治的であったものが、1847年と1853年の三閉伊(九戸郡の野田通、閉伊郡の宮古通、大槌通)を中心に発生した三閉伊一揆です。

1847年は、12,000人余りの領民が立ち上がり、御用金の賦課に端を発したもので、遠野に強訴し、役銭の撤回など藩に一定の譲歩を認めさせています。しかし藩が公約を破ってふたたび三閉伊地方に役銭が課せられたことから、1853年は16,000人余りの領民が立ち上がり、大一揆となりました。この一揆は、盛岡藩主の更迭と藩政改革を要求、それがかなわない場合は三閉伊の幕領または仙台藩領化を願い出たものであり、処分者を出さず一揆側の全面勝利で終わりました。

三閉伊一揆の参加者は農民や漁民、その他の様々な生業に携わる人々の集合であり、民衆は計画された行動に従ったなど、地域住民の結束を強めた一揆とされており、厳しい状況を打開する精神力や団結力を持つ人々が生まれ育った地であることがわかります。

人々の暮らしを伝える様々な資料館

三閉伊一揆などの取り組みなど、人々の暮らしを伝える資料館は各地に点在しています。田野畑村の「田野畑村民俗資料館」では、藩政時代に起こった国内史上最大規模の三閉伊一揆のほか、縄文遺跡出土品、化石などを展示しています。三閉伊一揆についての資料を中心に収蔵する全国でも珍しい資料館であります。

また、洋野町の「町立種市歴史民俗資料館」は、種市に伝えられ、全国的にも有名は「南部もぐり」の資料を展示しており、三陸の豊かな海産資源と文化の関わりを見ることができます。

これらの資料館を見て回り、三陸海岸特有の自然と風土からなる文化・歴史を感じてみませんか。