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ジオコラム

地底に広がる鍾乳洞「古代の海の贈り物」

龍泉洞第3地底湖

龍泉洞第3地底湖

北上山地や海岸部は、さまざまな地史をたどってきました。北上山地周辺には石灰岩が分布し、各所に鍾乳洞が見られます。このような石灰岩や鍾乳洞は、太古のサンゴ礁や石灰質の殻を持つ生物の死骸などからできています。その石灰岩を、二酸化炭素を含む雨水などが長い時間をかけて、ゆっくり溶かしてできたのが鍾乳洞なのです。水に濡れた白い岩肌は、彫刻のような美しさです。

石灰岩は太古のサンゴ礁

三陸地域の大地には、さまざまな地球史が眠っています。大きな地殻変動にもまれた時期もあれば、海の底で豊かな生物を育んだ時期もありました。

北上山地周辺に見られる石灰岩は炭酸カルシウムでできていますが、その石灰岩の多くは、サンゴなどの生物の骨や殻が堆積したものです。つまり、石灰岩の存在は、太古にサンゴ礁があったことを示すものなのです。

サンゴ礁は温暖で太陽の光が届く浅い海に発達します。古生代から中生代にかけて、大陸の沿岸や海山の周辺などの浅い海で発達したサンゴ礁や石灰質のプランクトンが、長い年月のなかで堆積して石灰岩に変わったのです。

三陸地域で見られる多くの鍾乳洞

滝観洞最奥にある「天の岩戸の滝」(住田町)

滝観洞最奥にある「天の岩戸の滝」(住田町)

海底にできた石灰岩の地層は、その後地殻の変動で隆起し、地上に姿を現しました。

石灰岩は二酸化炭素を含む水に溶けやすい性質があります。そのため、地上に現れた石灰岩の地層は、雨水や地下水によって侵食されます。長い時間をかけて徐々に侵食が進むと、小さな穴が大きな空洞になり、それが鍾乳洞になっていくのです。

三陸では洞窟遺跡などを含めて数多くの鍾乳洞がありますが、なかでも冬には氷筍が成長する内間木洞(久慈市)、総延長23.7km、日本最長の安家洞、深さ120mのエメラルドグリーンの地底湖のある龍泉洞(いずれも岩泉町)、洞内に高低差29mの滝がある滝観洞(住田町)、シルル紀の石灰岩からなる鍾乳洞の縄文時代の住居跡である関谷洞窟住居跡(大船渡市)などが有名です。

地面がすり鉢状のくぼ地:ドリーネ

江川地区で見られる石灰岩地の窪地(ドリーネ)

江川地区で見られる石灰岩地の窪地(ドリーネ)

石灰岩の地層は、侵食が地上に近いところで進むと、地上部の地面がすり鉢状のくぼ地を造ることがあります。ドリーネと呼ばれるもので、語源はスロベニア語の「谷」ですが、日本語では擂鉢穴、落込穴などともいいます。

岩泉町にも「江川ドリーネ」と呼ばれるドリーネを見ることができます。それ自体は水のない窪地ですが、龍泉洞の水源のひとつで、ここから水が地下にしみ込んで龍泉洞まで流れているそうです。

高い透明度が世界的にも希少な龍泉洞

龍泉洞第3地底湖

龍泉洞第3地底湖

岩泉町にある龍泉洞は宇霊羅山(アイヌ語で「霧のかかる峰」の意)の東側のふもとにあります。長さ2,500m以上、日本三大鍾乳洞のひとつで、国の天然記念物にも指定されています。

洞内に湧き出る水は数ヶ所で深い地底湖となり、幻想的な風景を創っています。第1〜3地底湖が一般公開されていますが、奥に4つ目の地底湖が確認されています。第3地底湖の水深は98m、第4地底湖は120mにもなり、日本一の深さです。透明度は41.5mにも及び、世界的にも希少な存在です。